その後
長い入院生活を終え
私が母のもとに戻った時は、私は本当の母を忘れていた
家に戻った時、私は泣きじゃくりながら父親にしがみついて
部屋の床になかなか足を付けようとしなかったそうだ。
その時の母の気持ちは
どんな気持ちだったんだろう・・・
愛する我が子が、小姑である夫の姉の事を母親だと思っていて
床に足をつけようとせず、DVの夫にしがみついているのだ
どれほど辛く悲しい気持ちだっただろう。
ここで
母親の話を少し書いておきたい
母は生まれてすぐ、母親が病死
その後は 消防士の父親とその姉によって育てられた
しかし母は、その父親が戦争に行ってしまった時期と
身ごもった時期とが微妙だったことによって
母はまるで背信の子として扱われ
父親の姉の叔母にひどい虐めを受けて育ったそうで
小学校を卒業し中学にも行かせてもらえず
捨てられるように、母は住み込みの奉公に出された。
奉公先では、休みが一年でお正月とお盆のたったの2日だけ
住み込みの奉公だから、朝暗いうちから起きて夜中まで働かされる。
普通の家庭なら、中学生の母はまだ育ちざかりだが
栄養状態も悪く、そうとう身体を酷使したのだろう
その頃から腎臓病を患うことになる
また、夜寝る前に入ったお風呂の中で身体の不調から気を失い
湯船の中で溺れしまって、耳の鼓膜がやぶれ耳までも不自由になってしまう・・・
母は事あるごとに「私は本当に悪い星の元に生まれた」と
まるで、ひとりごとのように呟いていた。